イギリス・ロンドンで14日に開催されたオークションにて、覆面アーティスト・バンクシー作の『3年前に裁断された絵画』が、日本円にして約29億円で落札された。
同絵画は、2018年の10月に一度オークションに掛けられ、当時にして約1億5000万円の値を付けて落札された作品だ。しかしその直後、バンクシー自らが額縁の内部に仕掛けたというシュレッダーが作動し、絵画の下半分が自動で裁断され話題になった。
当時会場にいた関係者らは、突然起きたアクシデントに混乱し、絵画が下から少しずつ裁断されていく異様な光景に目を見張ることしかできなかった。また、その様子が収められた動画は、SNSを通じて世界中に拡散。現地に限らず各国のメディアで大々的に報じられ話題になった。
それから約3年の月日が過ぎた今回、再び同作品がオークションに掛けられたのである。ちなみに、裁断される以前の同作品に付けられていたタイトルは『Girl with Balloon(少女と風船)』だった。しかし、裁断された後は『Love is in the Bin(愛はゴミ箱の中に)』に変更されている。
また、過去の一件もあり、会場では今回も落札後に何か仕掛けが作動して思いがけないアクシデントに見舞われるのではないかという声もあったそうだ。参加者一同が見守るなか、今回は無事に落札されて取引を終えた。
再オークションにて約29億円で落札された『Love is in the Bin(愛はゴミ箱の中に)』。3年前の落札額と比べて19倍ほどの高値を付けた計算になり、加えてバンクシー作品としては過去最高額を更新した。
男性であることは判明しているものの、本名や年齢などといった素性は明かされていない、覆面アーティストのバンクシー。社会批評のイデオロギーを持つとされ、手掛ける作品も風刺的でエッジの利いたものが目立つ。SNSでは、彼の作品が今回は無事競り落とされたこと、また同氏作品の過去最高額が更新されたことが話題となった。